「逆さまのミサ」
ワインとヒキガエルのファド
~中世ポルトガルの百姓娘の唄~

作詞作曲 黒実 音子




1

「老獪な百姓娘」
今日は、夫がお祈りに出かけている間、私は一人。
ポルトガルのワインをあけて、
へブラ・カディッシュと乾杯というわけさ

おお、夫には言えない、
私が聖なるパンより、
ヒキガエルを愛しているという事。
低俗なレベルであなたを愛し、
あなたの頭の悪さが好きな女

あなたは教会では、先頭をきって偽善を語り、
家の中では、王様気取りで私を殴る
ああ!! そんなかわいそうなあなたが、私は好きさ

ああ!! 楽園のやつらは言う!!

「天使達」
ここでは幸せが一杯

「老獪な百姓娘」
だけれど哀れな私には、
シモニーからの声の方が優しく響く!!

ああ!! 頭の中で、
寂しいって泣いている声がしていたのも、もう昔、
今はもう何も聞こえない

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ああ!! 神様!!
愛のムチは嬉しい
バツを与えて
せいぜいお気に召すままに!!
でも、最後に笑うのは、きっとこの私!!
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2
答えを探すのなんて、少女の頃に放棄した
振り返ってみれば自然に答えは出ている
あるがまま受け入れ
ヒキガエルのように地べたを這う女!!

悩んでたって誰が助けてくれるんだ?
ああ、それでも時々、
立ち止まって、感傷きどりで遊ぶ!!

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だって、神様!!
ユメはうれしい
だけれど、儚い
所詮、幻ですもの
それでも果てない先をみんな追い掛けて!!
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ああっ、神様!!
強く私を殴って!!
もっといじめて!!
みんなかわいそうなのね
幸せを探していたはずなのに
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「天使達」
ああ、素朴な娘よ
汝の罪を全て許そう!!
いつか全て浄化されるでしょう
この世の全てを何もかも飲み込んで
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「老獪な百姓娘」
ああ、それでも本当は!!

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「全員」
花は咲き誇り、
皆がいつも歌う、
誰もが楽園に恋したい!!
この世の全てを何もかも受け入れて
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「老獪な百姓娘」
なんて、一人で盛り上がっても
冷めてしまえば、またくり返し
しかし、楽園というものが本当に存在するならば
いつかこの目で確かめてみたいものだ
しかし、それができない私
それが私のファドなのだから

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