「3つの黒ミサ曲」より 七番目の娘の七番目の娘 作詞作曲　黒実　音子 1. ある日、男は酒場で やばい娘に惚れちまった まるで骨と皮だけの みすぼらしい黒衣のグリンゴに その女は嵐の晩に、 死者のバンドネオンの音色に合わせ、 ボカの墓場でイタリア人の骨と踊る 女に罪深い恋の呪いをかけられ、 男は日に日に痩せ衰えていく おお、お優しい神の忠告など 届きゃしない *********************** ルンファンドと死んだ言葉で愛を交わし 男は棺桶にまで誘われた!! ああ、男と女はいつだって呪いあう 何がお望みなのかすら もうわからないクセに ああ、なんてこったい!!　 光もささないこんな場所には 主の祈りも届きゃしない!! 神様はちんけな連中の悪事など、 今日も全く、そしらぬ顔だから *********************** 2. 男と女の呪いにかけられ、 女に貢ぎ続け 男はついにある日、力つき死んだ 女は楽し気に笑い、 墓場でタンゴを踊る 昔、自分が誰かに微笑んでいた事なんて、 もう忘れた ああ、誰もが悲しいものだ!! 男も、男の母親も、 呪いと邪悪しか知らないグリンゴの女でさえも!! *********************** さぁ、踊ろう!! 死のブルハタンゴを!! その女は、その骨すら魅力的!! この土地では誰もが情熱のやり場がなく 大人気ない夜の寂しがり屋 女よ、本当はわかっていたのだろう？ おまえですら愛を探し求めていたのだ!! 神と人の愛し方を、 誰もおまえに教えてくれなかっただけで *********************** *********************** ルンファンドと死んだ言葉で愛を交わし 男は棺桶にまで誘われた!! ああ、まるでエル・ティテレ!! アンチキリストに骨まで喰いつくされた ああ、なんてこったい!!　 光もささないこんな場所には 主の祈りも届きゃしない!! 神様はちんけな連中の悪事など 今日も全く、そしらぬ顔だから *********************** *********************** だが、人はそれでもいいと夢見る だってここは、よごれた俗世だから 俗にまみれた欲深どもの日常だから やがて誰もが主の前に倒れ 土の中で虫共に喰いつくされ 体は朽ち果て、髪は抜け落ち、 本当の美しさを手に入れるのだろう ***********************