「逆さまのミサ」より
私の葬儀

作詞作曲 黒実 音子



参列者達が淡いカンデヤを灯し、行列する
あの火は遠い港の明かりだ

港には、私の知らない人ばかりが住んでいる
だから私の葬儀には、
見知らぬ人ばかりが参列する

私はもう、うんざりするほど
葬儀をくり返してきたのだ
通夜のような顔で
悲愴という名の税を払い続けながら

人生とは葬儀なのだから
欲望の、見栄の、偽りの・・・
それらを埋葬する事ができたら
ようやく片方の玄関を開け放てるのだ

私の事を何も知らない人達が
泣き、花びらを落としてくれる
私の知らない私の生前を語っている

ふと、私は気づく
誰の事も知らなかったのだ!!
知らない者の為に泣き、知らない者の為に歌う
それが人生なのだ
この葬儀のように・・・

私の事を知っているのは、
欲望、見栄、偽りのみ
そして、それらを埋葬する事が葬儀なのだ
誰にも知られないように土の中に
掛け物を逆さまにして
それは神聖なる秘密の儀式なのだ

さて、今日も、
続きは生きている者の為にくり返される
皆、欲望、見栄、偽りと杯を交わす
それが生きるという事なのだから・・・

人生とは葬儀なのだ!!
そして私は相変わらず税を払い続けている
キリストが払い損なった税金
悲愴という名の税を





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